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ベトナムの菜食を支える食材と味付け ― 豆腐・きのこ・腐皮、魚醤の代わりまで

2026年10月9日

数種類のきのこやとうもろこしが入った菜食の煮込み
きのこ類を主役にしたベトナムの菜食料理。 写真: Phương Huy (Own work) / Public domain (PD-self) / Wikimedia Commons

菜食の土台になる食材

ベトナム通信社が発行する雑誌Vietnam Pictorialの記事によると、ベトナムの菜食料理は主に野菜、根菜、果物、大豆製品、きのこで作られます。仏教が長く根づいてきたことから、菜食(chay、チャイ)は食文化の大切な一部だと説明されています。

豆腐(đậu hũ、đậu phụ)について、フエを紹介したTuoi Tre Newsは、揚げる、煮る、汁物に入れるといった使い方を挙げています。同じ記事では、野菜に豆味噌のような調味料tương(トゥオン)や発酵豆腐chao(チャオ)を添えて食べることや、緑豆のペーストと春雨、きのこを巻いた菜食の揚げ春巻も紹介されています。きのこはVietnam Pictorialの記事にも煮物や炒め物の具として登場します。

豆腐のほかに目立つのが腐皮です。Wikipediaの解説では、腐皮は豆乳を加熱したときに表面にできる膜を引き上げたもので、日本では湯葉と呼ばれる食品にあたります。ベトナム語ではtàu hũ ky(tàu hủ kyとも表記)といい、Thanh Niên紙によると、ヴィンロン省の産地では中国系の家業として始まり、1912年に一家が作り始めたとされています。肉料理にも菜食にも使われる食材だと紹介されています。

魚醤の代わりになる味付け

ベトナム料理に欠かせない魚醤(nước mắm)は、菜食では避けられます。Vietnam Tourismの英語サイトは、バインセオのつけだれ(nước chấm)には通常魚醤が入っているため、菜食の場合は醤油(nước tương)にしてほしいと頼む方法を挙げています。

もう一つの代わりがnước mắm chay、つまり菜食用の魚醤風調味料です。VnExpressのレシピ記事(2025年)では、干し椎茸と戻し汁、海藻、熟したパイナップルを煮出して漉し、塩と砂糖で味を整える作り方が紹介されています。色を濃くしたいときは醤油を加えてもよいとされ、ゆで野菜、豆腐、菜食の巻き物に添えると書かれています。これは一つのレシピで、すべてのnước mắm chayが同じ材料とは限りません。

甘い料理では、同サイトによると、チェー(デザート)に豆やタピオカとともにココナッツミルクが使われ、菜食の生春巻(gỏi cuốn chay)には豆腐、香草、ライスヌードルを入れ、ピーナッツのたれを添えることが多いそうです。

肉や魚に似せた料理がある背景

菜食の食堂では、動物性の料理に似せた一品もよく見られます。Thanh Niên紙(2022年)は、こうした料理を「chay giả mặn(チャイ・ザー・マン)」と呼び、味、見た目、名前を非菜食の料理に似せたもので、菜食を始めたばかりの人にも親しみやすくする狙いがあると説明しています。Vietnam Pictorialも、鶏の内臓炒め、エビ揚げ、卵炒め、豚の煮込みなどに見せた料理を挙げています。Tuoi Treの読者欄には、スペアリブ、豚の角煮、エビ、イカの名がついた菜食料理や、ビーツの汁で赤く色づけた菜食のtiết canhの例が出ています。

この点について、Thanh Niên紙は、仏教の精神にそぐわないとする僧侶の見方を紹介しています。一方で、ある住職は、初心者が慣れやすくなる面があることも認めています。寺院の菜食が盛んなフエについては、フエの菜食料理の記事もあわせてご覧ください。

揚げ豆腐が見える、菜食の生春巻き(ゴイクオン・チャイ)
菜食の生春巻き「ゴイクオン・チャイ」。 写真: Paul R. Burley (Own work) / CC BY-SA 4.0 / Wikimedia Commons

注文時に確認したい点

Vietnam Tourismの英語サイトによると、菜食の料理にも動物性の材料が入っていることがあり、確認したい点は次のとおりです。

  • 魚醤:最も多い見落としとされ、料理人が動物性と考えずに使う場合もあるといいます。
  • えび味噌(mắm tôm):中部でブンボーフエやバインセオに添えられる調味料です。
  • 卵・マヨネーズ:バインミーに塗るマヨネーズは卵ベースです。菜食専門店は卵や乳製品を避けるのが一般的とされますが、店によって違いがあります。
  • そのほか:オイスターソース、豚そぼろ、鶏脂やだしにも注意が挙げられています。

伝え方として、同サイトは「Tôi ăn chay(菜食です)」「Không thịt, không cá(肉も魚もなし)」「Không nước mắm(魚醤なし)」といった表現を紹介しています。店の探し方はベトナムで菜食の食事を探すの記事、陰暦の一日と十五日に菜食が増える点はngày rằm・mùng mộtの記事で触れています。菜食の範囲は店や地域で異なるため、迷ったら具体的な材料まで尋ねるのが確実です。

トップ画像: ホーチミン市の小さな仏教系食堂の菜食。肉や魚に見える部分は代用品でできている。 写真: Takeaway (Own work) / CC BY-SA 3.0 / Wikimedia Commons

出典