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台湾の素食「自助餐」の仕組み ― 好きなおかずを選んで払う食堂の使い方

台湾の街では、トレーを手に並んだおかずを自分で取り、会計で金額が決まる食堂をよく見かけます。「自助餐」と呼ばれる形式で、肉や魚介を使わない素食のものは「素食自助餐」として知られています。この記事では、出典で確認できる範囲で、仕組みと使い方、旅行者が確認したい点を整理します。扱うのは取った分に応じて支払う形式で、食べ放題の店とは決まりが異なる場合があります。細かな運用は店ごとに違います。
素食自助餐というスタイル
台北タイムズの2024年の特集は、素食のビュッフェ形式の店を、菜食の食堂のなかでも最も一般的なもののひとつとして紹介しています。客はトングで豆腐や野菜のおかずを取り、重さに応じて支払うという流れです。国立政治大学の国際交流部門による2024年の案内も、多くの料理から自由に選び、皿の重さや選んだものを基に最後に値段が決まる形式だと説明しています。
広まった背景
台湾のセルフ式食堂の歴史について、聯合新聞網(2025年)は次のように伝えています。1962年、当時の台湾省主席・周至柔が米国視察でセルフ式の食事を知り、中興新村での試行を経て、同年6月に台北・館前街で「台北第一速簡餐廳」が開業しました。客は当日の価格表を見てトレーと食器を取り、台に並ぶおかずを選び、スタッフの会計を済ませてから席につきます。この店は建物の改築で1964年2月に閉店しましたが、記事は、その後この形式が広まり、学校や役所、街角などで見られるようになったと述べています。ただし、これは素食に限らないセルフ式食堂全般の話です。
素食版がいつ、どう広がったかを一つに特定できる資料は、今回確認した範囲では見つかりませんでした。手がかりとして、1991年の台湾光華雑誌(Taiwan Panorama)は、素食のセルフ式食堂は開業費が約40万〜60万台湾ドルで始められると書き、台北では6年間に200軒近い素食店が開いたと伝えています。同記事は当時の状況として、その多くを一貫道の信者が営んでいるとも記していますが、1991年時点の記述であり、現在の状況を表すものではありません。
宗教との関わりについては、台湾光華の2023年の記事が、斎教(羅教に由来するとする歴史研究者の説を紹介)や一貫道が肉を避ける食事を広めてきたとし、宗教的な理由で肉を避ける人が今も一定数いるとしています。台北タイムズは、東アジアの菜食を大乗仏教の不殺生の考え方と結びつけています。一方、台湾光華の2021年の記事は、近年は健康や環境、持続可能性を理由に植物性の食事を勧める動きがあることも紹介しています。素食の背景は一つではなく、食堂の運営主体も店によって異なります。

利用の流れ(店によって違います)
- 入口付近で皿やトレー、トングを取ります。
- 並んだおかずから好きなものを取ります。台北タイムズは、料理が売り切れたり冷めたりする前に、早めの時間に行くとよいと助言しています。
- 会計は店によって、皿を量る方式、品数や見た目で値段を決める方式などがあります。
- ご飯は種類を聞かれる店があり(台北タイムズの例では白米・五穀米・紫米)、スープが無料の店もあります。扱いは店ごとに異なります。
寺院や仏教団体と関わりのある食堂もありますが、すべてがセルフ式とは限りません。台湾光華(2023年)は、彰化に卍の看板を掲げた素食店があり、地元の素食文化と宗教の近さを示していると述べています。また、聯合新聞網の旅行記事(2026年)が紹介した仏光山系の寺院内の食堂は、料理ごとに値段がつく方式で、営業時間も昼と夕方に分かれていました。事前に営業日や時間、支払い方法を確認すると安心です。

旅行者が確認したい点
素食といっても種類があります。衛生福利部によると、2009年7月1日以降に製造される包装食品が素食をうたう場合、「全素(純素)」「蛋素」「奶素」「奶蛋素」「植物五辛素」のいずれかの表示が必要になりました。「素食可」という表示は規定に合わないとされた例があります。ただし、これは包装食品の規定で、カウンターに並ぶ料理に同様の表示があるとは限りません。気になる点は店員に尋ねるのが確実です。
- 五辛:台北タイムズによると、伝統的にタマネギ、ニラ、ニンニク、ネギなどが避けられ、そのため味付けが穏やかな料理が多いとされます。台湾光華は、資料によって数え方が異なること、近年の「蔬食」では避けない場合もあることを伝えています。
- 卵・乳:政治大学の案内によると、素食は卵を避けることが多い一方、卵や乳を含む種類もあります。
- 加工品:もどき肉などの加工品は、「素」とあっても、種類によって卵や乳、五辛を含むことがあり得ます。表示区分が複数あることからも、店で確かめる価値があります。
- 尋ね方の例:「這是全素嗎?」(全素ですか)、「有蛋或奶嗎?」(卵や乳は入っていますか)、「有五辛嗎?」(五辛は入っていますか)。
店探しには、交通部観光署が2022年12月に発行した英語の素食ガイド『Food X Travel』(72ページ、200軒以上を地域別に掲載)のような公的資料もあります。素食の種類の基本は素食の種類、全体像は台湾の素食、背景の読み物は台湾光華の素食記事の紹介も参考にしてください。
トップ画像: 台北の素食自助餐で、おかずが並ぶ台。 写真: user:takoradee (Own work) / CC BY-SA 3.0 / Wikimedia Commons
出典
- Taipei vegetarian 101: A beginner’s guide to plant-based dining in the Taiwanese capital(Taipei Times、2024年)
- Being vegetarian in Taiwan: Everything you need to know(国立政治大学国際合作事務処、2024年)
- 台灣最早的自助餐廳怎麼來的?當年這家餐廳創新竟只活兩年(聯合新聞網、2025年)
- Eating Out in Taiwan–Variations on a Popular Theme(Taiwan Panorama、1991年)
- A Vegetarian Paradise: Taiwan’s Meatless Success(Taiwan Panorama、2023年)
- 素得夠味 歡迎蒞臨素食大國!(台灣光華雜誌、2023年)
- Taiwan’s Vegetarian Awakening: A Gathering Trend(Taiwan Panorama、2021年)
- 素食五標示上路稽查結果公佈(衛生福利部)
- Food X Travel: The Taiwan Guide to Vegan & Vegetarian Dining(交通部観光署、2022年)
- 基隆必吃素食餐廳!「佛光山極樂寺滴水坊」(聯合新聞網 旅行、2026年)
