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ネパールのダルバートと菜食 ― 豆のスープ、米、副菜の食卓と、祭りと食の習慣

2026年10月10日

ダルバートとは何か

ダルバートは、ダル(豆のスープ)、バート(米)、タルカリ(野菜のカレー)を中心にした、ネパールの代表的な日常の食事です。ネパール政府観光局(NTB)は、ダル、米、野菜、アチャール(漬物やソース)に、ヨーグルトまたはバターミルクが添えられる食事として紹介しています。ダルに使う豆は、黒、赤、黄、緑、またはそれらの混合など、季節によって変わるとされています。それぞれの品には、決まったスパイスやハーブで風味が付けられると説明されています。

NTBの文化紹介のページも、ダル・バート・タルカリに、しばしばアチャールを添えたものが普段の食事だと述べています。一枚の皿や盆に品が並ぶこの形は、ネパールの食卓の基本といえます。

ダルバートは必ずしも菜食ではない

ここで大切なのは、ダルバートが「菜食の定食」と決まっているわけではない点です。NTBの紹介では、野菜に続いてチキンまたはマトンのカレーが添えられる形が、ダルバートの標準的な構成の一部として挙げられています。一方でNTBの文化紹介は、肉のカレーは人気があるものの、特別な日のために取っておかれることが多いとも述べています。つまり、肉が付くかどうかは家庭や店、場面によって違います。

ネパールでは肉を食べる人が多い一方で、ヒンドゥー教徒が多数を占めることや、インド・チベットの食文化の影響から、ベジタリアンという考え方は身近だと、旅行メディアのVegNewsは紹介しています。ネパール国家統計局が2021年国勢調査として発表した宗教別の割合は、ヒンドゥー教が81.19%、仏教が8%台、イスラム教が5.09%、キラント(キラット)が3.17%、キリスト教が1.76%と報じられています。宗教や民族、地域によって食の習慣は異なるため、「ネパール人は菜食」とも「ネパール人は肉食」とも一括りにはできません。

金属の皿に盛られたダルバートタルカリ
ダルバートタルカリ。ネパールの日常の食事。 写真: Gaurav Dhwaj Khadka / CC BY-SA 4.0 / Wikimedia Commons

乳製品を使う点に注意

ネパールで「ベジタリアン」とされる料理には、乳製品が含まれることがあります。ダルバートに添えられるヨーグルトやバターミルクは、NTBの紹介にもある通り、食事の一部です。VegNewsは、ダルバートは動物性食材を含まないことが多いとしながらも、ギー(澄ましバター)、凝乳(ヨーグルトの一種)、ミルクが料理に使われることに注意を促しています。お茶にも牛乳やバター、たっぷりの砂糖が入ることがあるため、乳製品を避けたい場合はブラックで頼むとよいと同記事は述べています。

ただし、ギーがどの料理にどのくらい使われるかは店や家庭で異なり、公的な統計や基準があるわけではありません。この記事では、乳製品を食べるかどうかを善し悪しで述べるつもりはなく、自分の基準に合うかを確認するための材料として整理しています。乳製品を含まない食事を望む場合は、現地の人が考える「ベジタリアン」と、自分の基準が一致しているとは限らない点を意識してください。

ヒンドゥー教・仏教の祭りと食

NTBは、ネパールでは一年を通じて祭りが行われ、食べ物が祝いの中で重要な役割を果たすと説明しています。ヒンドゥー教徒と仏教徒は、数世紀にわたって共存してきたとされ、ブッダがヒンドゥー教徒にも仏教徒にも広く崇敬されることも紹介されています。

  • ダサイン:NTBによれば、ネパール最長のヒンドゥー教の祭りで、約2週間続きます。女神ドゥルガーへの祈りが中心で、家族は年長者からヨーグルトと米を混ぜた朱のティカを受けます。ナワミの日にはハヌマン・ドカで多数の動物が公式に供儀されると紹介され、全体として盛大な宴が開かれます。
  • ティハール:5日間の「灯りの祭り」です。カラス、犬、牛、耕作に使う牛をそれぞれ敬う日があり、ラクシュミ女神への礼拝、兄弟姉妹の儀式(バイ・ティカ)、最後の宴で締めくくられます。NTBは、牛の屠殺はネパールで違法であり、牛を敬う姿勢はヒンドゥー教、仏教、ジャイナ教に共通するアヒンサー(非暴力)の考えを表すものだと説明しています。
  • ティージ:ヒンドゥー教徒の女性が行う祭りで、前日に「ダル」と呼ばれる宴があり、当日は断食をしてシヴァ神に祈るとザ・カトマンズ・ポスト紙は報じています。
  • ブッダ・ジャヤンティ:4月または5月の満月の日に、ブッダの誕生・悟り・入滅を記念する日です。ブッダの生誕地ルンビニには多くの信者が訪れ、バターランプを灯して祈ります。NTBのページには食に関する記述はなく、この日の食事の決まりについて、本記事では断定しません。

ニューワール(カトマンズ盆地の民族)の祭り料理も、菜食の観点から興味深い例です。ヨマリ・プンヒ(NTBは12月4日と記載)では、新米の米粉の生地に、チャク(糖蜜)またはクワ(練乳)とゴマを詰めて蒸したヨマリを作り、収穫の女神アンナプルナに祈ります。ジャナイ・プルニマの頃に食べるクワティは、9種類の豆を発芽させて煮込んだスープで、民間では季節の病気や虫から身を守るとも言い伝えられています。これらは言い伝えであり、栄養や健康への効果を示すものではありません。

カトマンズのボダナート・ストゥーパと祈りの旗
カトマンズのボダナート・ストゥーパ。 写真: Bernard Gagnon / CC BY-SA 4.0 / Wikimedia Commons

旅行者向けの実用的な注意点

  • メニューに「ベジタリアン(veg)」とあっても、ギー、パニール(チーズ)、ヨーグルト、牛乳が入っているか確認する。確認が必要なのは宿の食事、トレッキング中の小屋、市場でも同じです。
  • ダルバートを頼むときは、肉のカレーが付くかどうか、ヨーグルトやバターミルクを付けるかどうかを、注文時に伝える。
  • モモは、NTBによれば鶏肉、マトン、水牛、パニール、チーズ、野菜などさまざまな具があるため、具を指定する。
  • お茶は牛乳が入ることが多いので、乳製品を避けたい場合はブラックを頼む(VegNews)。
  • 寺院では靴を脱ぐよう求められることがあり、非ヒンドゥー教徒の入場を認めない寺院もあります。食事の際は、右手が清浄とされ、食べる、渡す、受け取るに使われる習慣があるとNTBは説明しています。

これらはあくまで公開されている情報に基づく一般的な目安です。店や家庭、地域によって実際の内容は異なるため、迷う場合はその場で尋ねてください。ネパールの食を、現代のヴィーガンと同じ枠で捉えることも適切ではなく、各地の食の習慣は、宗教や暮らしの中で形づくられてきたものです。

トップ画像: ご飯、豆のスープ、野菜の副菜などを一枚の皿に盛ったネパールの食事。 写真: Subhashish Panigrahi / CC BY-SA 4.0 / Wikimedia Commons

出典