Japan · Food

普茶料理とは?黄檗宗の寺に伝わる、中国風の精進料理

2026年10月9日

普茶料理とは

普茶料理(ふちゃりょうり)は、黄檗宗(おうばくしゅう)の寺院に伝わる中国風の精進料理です。黄檗宗は、中国・明から来日した僧、隠元隆琦(いんげん りゅうき)が江戸時代に日本へ伝えた禅の宗派で、京都・宇治の萬福寺(まんぷくじ)はその大本山にあたります。萬福寺の公式サイトによると、同寺は1661年に隠元によって開かれ、普茶料理は宗祖の隠元が中国から伝えた精進料理として紹介されています。

「普茶」という名は、茶を広く皆にふるまうという意味に由来するとされます。事典類では、茶を囲む集まりのあとに出された食事がもとになった、と説明されています。黄檗料理、あるいは寺卓袱(てらしっぽく)という別名も挙げられており、長崎で発達した卓袱(しっぽく)料理の精進版にあたるとする解説もあります。

萬福寺は、堂宇が中国・明朝の様式で建てられ、読経にも中国由来の伝統が残るとされるお寺です。日本の禅寺の中でも、中国の気配を色濃く伝える場所として知られ、食事もその文化の一部として受け継がれてきました。

食べ方と特徴

基本は、四人で一つの卓を囲み、大皿に盛られた料理を各自が小皿に取り分けて食べる形式です。萬福寺の公式サイトは、席に上下の区別を設けず、和やかに食卓を囲むものと説明しています。また、食事の前には「五観の偈(ごかんのげ)」という食事の心構えを唱えることが勧められています。

味つけや調理の面では、ごま油などの油や、葛などのでんぷんでとろみをつける料理が多い、と事典類は述べています。野菜や豆腐、乾物といった植物性の素材を使い、中国の調理法を取り入れている点が、普茶料理の特徴として挙げられます。献立は、汁物、煮物、和え物、漬物、ご飯、果物などで構成されると百科事典は説明しています。江戸時代には、中国趣味の人々のあいだで親しまれ、江戸の料理屋にも広まったとされます。

なお、禅の寺院の食事全般については精進料理とは?で整理しています。普茶料理はその中でも、中国から伝わった黄檗宗の流れをくむ一つの形、と位置づけられます。

一枚の皿に盛られた普茶料理の品々
一枚の皿に盛り合わせた、普茶料理の品々。 写真: 黄檗研究 / CC BY-SA 4.0 / Wikimedia Commons

代表的な料理

普茶料理の献立は「菜単(さいたん)」と呼ばれ、コースや季節によって内容は変わります。萬福寺の公式サイトと事典類で確認できる主な料理は次のとおりです。

  • 筍羹(シュンカン):季節の野菜や乾物を大皿に盛り合わせた料理。公式サイトでは食事の見せ場とされています。
  • 麻腐(マフ):ごまを使った豆腐状の料理で、ごま豆腐のもとになったとされます。
  • 雲片(ウンペン):野菜の切れ端などを細かく刻み、葛でとろみをつけた料理。雲のような見た目から名づけられたと説明されます。
  • 油茲(ユジ):天ぷらに似た揚げ物ですが、具材や衣にあらかじめ味がついています。
  • 寿免(スメ)・浸菜(シンツァイ):澄んだ汁物と、季節の野菜を軽く味つけした一品。
  • もどき料理と水果(スイゴ):うなぎの蒲焼やかまぼこに見立てた料理と、締めの果物・菓子。
京都・宇治の黄檗宗寺院、萬福寺の建物
京都府宇治市にある黄檗宗の寺院、萬福寺の建物。 写真: Fg2(推定) / Public domain / Wikimedia Commons

萬福寺で知る、味わう

萬福寺では、山内で普茶料理をいただけます。京都府の観光情報や日本政府観光局(JNTO)の英語ページでも紹介されていますが、予約が必要で、コース内容・料金・受付時間・休業日は変更されることがあります。訪れる前に必ず萬福寺の公式サイトで最新情報をご確認ください。

仏教の食の作法に根ざした精進料理は、動物性食材を使わない点で現代のヴィーガンと重なる部分もありますが、宗教的背景をもつ食事であり、同一視はできません。違いについては精進料理とヴィーガンの違いをご覧ください。日本で精進料理を体験できる場所は日本で精進料理を体験するにはで紹介しています。

トップ画像: 器に盛られた普茶料理の一例。 写真: 黄檗研究 / CC BY-SA 4.0 / Wikimedia Commons

出典