Sri Lanka · Culture

スリランカのポヤ ― 満月の祝日と、酒・肉の販売制限のしくみ

2026年10月9日

ポヤ(Poya)は、スリランカで毎月の満月の日に当たる仏教の祝日です。上座部仏教の布薩(ウポーサタ)に当たる日で、シンハラ語での呼び名とされています。1971年制定の祝日法(Holidays Act)の条文には、満月のポヤの日をすべて公休日・銀行休業日とする規定があります。2012年の国勢調査について、デイリーFT紙(2016年)は仏教徒70.19%、ヒンドゥー教徒12.6%、イスラム教徒9.7%、キリスト教徒7.4%と報じています。ポヤはさまざまな宗教の人にとっての休日であり、仏教徒にとっては信仰の日でもあります。

寺院での過ごし方と戒

A・G・S・カリヤワサムの解説(Access to Insight掲載)によると、在家の信者はポヤの日に寺を訪ねて礼拝し、八戒を受ける人も多いとされます。早起きして身を清め、清潔な白い服で最寄りの寺へ向かい、僧侶から戒を授かったあと、説法、供養、瞑想などの一日を過ごします。満月の日には花や灯明をたくさん捧げる様子も紹介されています。

八戒は、日常の五戒に加えて、正午を過ぎた固形食、歌舞音曲や装身、豪華な寝台や座席を避けるものです。全員が守るわけではなく、白い服や八戒は熱心に実践する人の姿と捉えるのが適切です。VOVワールドの記事は、戒を守る人は肉を口にせず、寺に届いた布施の食事をいただくと紹介しています(単独の出典のため参考情報です)。

ヴェサック・ポヤの日の寺院にある菩提樹と参拝者
スリランカのヴェサック・ポヤの日の菩提樹。 写真: Chamikamac / CC BY-SA 4.0 / Wikimedia Commons

酒と肉の販売制限

祝日法の条文(法令集に収録された版。その後の改正は確認できていません)は、満月のポヤの日にナイトクラブ、酒類を扱う店、賭博の場、精肉店の営業を禁じ、販売目的の屠畜や肉の販売も禁じています。スリランカ観光局の公式サイト(srilanka.travel)も、満月のポヤの日は酒・肉・魚の販売が禁止され、一部の店も休むと案内しています。

酒類については、物品税局が毎年「禁酒日」を発表します。2026年2月の発表(デイリー・ミラー紙)では、全国で酒類の販売が禁じられる日は19日で、一覧には13回のポヤの日が含まれていました。宿泊客向けの例外はニューイヤーとクリスマスに限ると報じられており、ポヤの日の例外は記事に書かれていません。祭りの時期には範囲がさらに広がり、2024年のポソン・ポヤでは、アヌラーダプラの聖地区域で7日間、酒類の販売が禁じられました(同紙)。

肉の扱いは一様ではありません。ウェサック(Vesak)やポソンの時期には、所管省庁が屠畜場、精肉販売、スーパーの肉売り場などの閉鎖を通達してきました(2020年ポソンと、2026年の国家ウェサック祭(State Vesak Festival)の例)。一方、旅行者向けガイドのSri Lanka Spiritは、観光客向けの店は通常どおり営業する傾向があり、仏教徒の多い地域では菜食のみのメニューも多いと述べています。条文とガイドの記述に差があるため、実際の運用は地域・年・店によって異なる可能性があります。なお、これらは販売や営業に関する規制であり、スリランカ全体が菜食を前提としているという意味ではありません。

供物と食べ物

カリヤワサムは、寺院の仏前に朝は乳粥(ミルクライス)、正午前には米とカレーの食事を供えると説明しています。供える食事は別に調理し、先に味見をしないとされます。また、在家が僧院へ食事を布施する際は、最初の一口分を仏に捧げ、次に僧侶へ渡す形が述べられています。

乳粥はシンハラ語で「キリバット」と呼ばれます。ウィキペディアによると、毎月1日の朝食や新年、人生の節目などの祝いの席で食べられ、緑豆を加えたものは寺院でよく作られるそうです。ブッダに乳粥を捧げた娘スジャータの伝承も知られています。ただし、ポヤの日そのものにキリバットを食べる習慣があるかは、今回の調査では確認できませんでした。無料で食事を振る舞う「ダンサラ」は、旅行ガイドではウェサックの時期の道端の光景として紹介されています。

キャンディの仏歯寺で供えられる花の籠
キャンディの仏歯寺(スリ・ダラダ・マーリガーワ)での花の供物。 写真: Ji-Elle / CC BY-SA 3.0 / Wikimedia Commons

旅行者が知っておきたいこと

  • 日付は月の満ち欠けで毎年変わります。2026年の例では、ヴァップが10月25日、イルが11月24日、ウンドゥヴァプが12月23日です(物品税局の発表)。年ごとの最新の発表を確認してください。
  • 酒類は前日までに用意するのが無難です。ホテルのミニバーは「グレーゾーン」とされ、提供は保証されません(Sri Lanka Spirit)。
  • 小さな店は休むことが多い一方、観光施設や大きなレストランは通常営業の傾向とされます。ウェサック、ポソン、エサラの時期は、キャンディ、アヌラーダプラ、ミヒンタレーなどが混雑し、交通も込み合います。
  • 寺院では肩と膝を覆い、所定の場所で靴を脱ぎます。参拝者の多くは白い服ですが、旅行者に着用が求められるかは確認できませんでした。

月の満ち欠けに合わせて菜食をする習慣は他の地域にもあります。ベトナムの旧暦の1日と15日の菜食についてはこちらの記事で紹介しています。ただし制度も宗教的背景も異なるため、同じものとして扱わないようにしましょう。

トップ画像: ポヤの日のケラニヤ寺院(Kelani Vihara)と参拝者。 写真: Damith Madhuranga / CC BY-SA 4.0 / Wikimedia Commons

出典