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台湾の素食の種類と表示の読み方:全素・蛋奶素・五辛素

2026年10月9日

素食の表示は五つに分かれる

台湾の素食(sùshí)は、肉や魚を使わない料理の総称ですが、卵・乳製品・ネギ類を含むかどうかで細かく分かれます。パッケージ食品については、衛生福利部が「包装食品宣稱為素食之標示規定」を定めています。この制度は2009年7月1日に始まり、2013年9月10日に改正されました。素食を名乗る場合は、次のいずれかの表記が必要です。

  • 全素・純素:五辛(蔥・蒜・韭・蕎・興渠)を含まない純植物性の食品。一般にはネギ、ニンニク、ニラ、ラッキョウ類、アサフェティダ(ヒング)と説明されます。
  • 蛋素:全素に卵製品を加えたもの。
  • 奶素:全素に乳製品を加えたもの。
  • 奶蛋素:全素に卵・乳製品を加えたもの。メニューでは「蛋奶素」と書く店もあります。
  • 植物五辛素:植物性の食品で、五辛を含んでよいもの。卵や乳を含む場合は、内容物の名称に明記します。

とくに「植物五辛素」は、全素にネギ類を足しただけとは限りません。規定上は卵や乳が入っていてもよいため、表示を読まずにヴィーガンと同じ意味で受け取らないことが大切です。なお「素食可食」のような曖昧な表現は、この規定では使えません。

全素はヴィーガンと同じ?

全素・純素は動物性食品を使わない点でヴィーガンに近い一方、五辛まで除く点で範囲が異なります。五辛の範囲自体も資料や宗派によって違い、台湾の記事や案内ではタマネギやエシャロットなどが挙げられることもあります。宗教的な素食と現代のヴィーガンは、別々の背景から生まれ、重なる部分もある別の考え方です。違いは精進料理とヴィーガンの違いでも整理しています。

蓮の花の絵と「素食」の文字が入った看板を掲げる、台北市南港区の素食の食堂
台北市南港区の素食の食堂「玉清素食」の店先。 写真: 玄史生 / CC0 1.0 / Wikimedia Commons

看板とメニューの見方

店頭では「素食」「蔬食」の文字が目安になります。台湾光華雑誌(2023年3月)は、宗教的な素食が五辛を避けるのに対し、新しい「蔬食」は五辛を気にしないスタイルだと紹介しています。仏教の「卍」を掲げる素食の店もあり、同誌は彰化の例を挙げていますが、見られる地域や店は限られるため、文字の表示とあわせて確認すると安心です。

前述の五つの表記は包装食品向けの規定で、飲食店のメニューの書き方は店ごとに異なります。食品藥物管理署の発表によると、2025年の素食飲食業者への検査計画では、表示も点検項目の一つとされました。

大皿にさまざまな料理が並ぶ、台湾式の素食ビュッフェのカウンター
台北の台湾式素食ビュッフェ。 写真: user:takoradee / CC BY-SA 3.0 / Wikimedia Commons

菜食の店が多い背景

台北タイムズ(2024年5月)は、政府の推計として人口の約13%、約300万人が菜食だと伝えています。店の数について、台湾光華(2023年3月)はWorldAtlasを引用して約6,000軒としますが、数え方によって変わる数字です。

歴史については、同誌が研究者の見方として、在家の菜食を勧める斎教系の信仰や一貫道が広がったことを挙げ、オランダ統治期(1624〜1662年)にさかのぼる可能性にも触れています。同誌2025年6月号は、1987年の戒厳令解除後に仏教団体が広がり、一貫道も合法化されたと伝えています。近年は宗教に加え、環境や動物福祉などの動機も重なっているといいます。店側の話として、客の半数近くが肉を食べる人という店もあります。

注文時に確認したい点

  • 避けたいものを整理しておく:肉・魚だけか、卵や乳、五辛も避けるのかで、選ぶ区分が変わります。
  • 短い中国語を用意する:「請問這是全素嗎?」(これは全素ですか)、「有蛋或奶嗎?」(卵や乳は入っていますか)、「不要五辛」(五辛は入れないでください)。
  • スープの出汁、タレ、ソース、代替肉に、動物性のものや五辛が使われていないかを尋ねます。たとえば沙茶醤には、素食用の「素沙茶」を使う店もあります(台湾光華より)。
  • 素食専門でない食堂では、豆腐料理でも肉を使うことがあります。国立政治大学の案内は、麻婆豆腐が伝統的に牛肉を使う例を挙げています。
  • 取り分け式の自助餐(ビュッフェ)は、重さで会計する店があり、料理を見て選べます(台北タイムズ、政大の案内による)。
  • 対応は店によって異なります。迷ったらスタッフに確認し、難しいと言われたら無理に頼まないのが無難です。

台湾素食の全体像は台湾素食とは?、台湾光華の記事は台湾光華の素食記事の紹介で取り上げています。

トップ画像: 台北市中山区の素食自助餐の店。 写真: 玄史生 / CC0 1.0 / Wikimedia Commons

出典