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韓国の寺院料理と鉢盂供養:四つの器でいただく僧侶の食事

2026年10月9日

寺院料理(사찰음식、サチャル・ウムシク)とは

寺院料理は、韓国の仏教寺院で修行の一部として受け継がれてきた食の文化です。コリア・ジョンアン・デイリー(2016年6月21日付)によると、肉・乳・卵を使わず、味覚を過度に刺激しないことで瞑想の妨げにならないよう整えられた料理とされます。日本の精進料理と同じく仏教の考え方に根ざしていますが、発酵大豆の味噌(テンジャン)や、寺の周辺で採れる山菜など、韓国ならではの素材が料理の中心になります。

仏教専門誌『Tricycle』の2017年の記事は、韓国の仏教の食には約1700年の歴史があると述べています。また、コリア・ジョンアン・デイリー(2019年9月24日付)によると、僧侶は伝統的に寺の近くの山で季節の野菜を採って食べてきました。朝鮮時代には、寺院や地域ごとに特色のある料理が形づくられたとも言われます。

通度寺の醤甕台に並ぶ甕
通度寺の醤甕台(장독대)に並ぶ多数の甕。 写真: Bernard Gagnon / CC0 / Wikimedia Commons

五辛菜(오신채、オシンチェ)と味づくり

寺院料理の大きな特徴が、刺激の強い野菜を避ける「五辛菜」の考え方です。『Tricycle』の記事では、ネギ、ニンニク、ニラ、野生のニンニク、タマネギの五つが挙げられ、加熱すると欲を、生で食べると怒りを呼び起こすと伝統的に考えられてきた、と説明されています。一方、コリア・ジョンアン・デイリー(2016年)は、ネギ、ニンニク、野生のニラ(ダレ)、ニラ(プチュ)、ネギに似た植物ヘンゴの五つを挙げており、具体的な顔ぶれは資料によって異なります。

香味野菜を使わない分、味づくりにも工夫があります。同紙によると、一般的な韓国料理で使われるカタクチイワシのだしではなく、干し椎茸や大根などの野菜でだしをとります。

こうした決まりは、修行の心得という宗教的な背景から生まれたものです。現代の食の区分であるビーガンとは出発点が異なります。違いについては精進料理とビーガンの違いで整理しています。なお、蜂蜜などの細かな食材の扱いは今回確認できた資料では触れられておらず、寺院によって異なる可能性があります。

鉢盂供養(발우공양、バルウ・コンヤン)の作法

鉢盂供養は、韓国の仏教寺院に伝わる、決まった作法で行う共同の食事です。コリア・タイムズ(2010年8月26日付、デイビッド・A・メイソン氏の寄稿)によると、「鉢盂」は食べ物を盛る四つの器を指し、「供養」は僧侶に食を捧げることを意味します。主に法要や集中修行の期間に行われ、禅の修行の一部として、テンプルステイの体験にも取り入れられています。公式のテンプルステイのサイトでも、体験メニューの一つとして紹介されています。

同記事が紹介する流れは、おおむね次のとおりです。

  • 四つの器は入れ子になっており、大きいものから順にご飯、汁物、おかず、水を入れる(資料によって器の中身の説明は異なります)。
  • 蓮華座(あぐら)で座り、必要な言葉以外は話さず静かに食べる。
  • 食前に唱え言をし、食べ物ができるまでの労力や感謝を思い起こす。進行は竹の打楽器の合図で行われる。
  • 食べきれる量だけを受け取り、器に何も残さない。
  • 最後に茶や水で器をすすぎ、取っておいた漬物(キムチ)の一切れでぬぐい、そのすすぎ水までいただく。

コリア・ジョンアン・デイリー(2019年)も、食べ物を一粒も無駄にしない心構えを伝えています。なお、細かな作法は寺院やプログラムによって異なります。

寺院料理店で供された多品目の菜食のおかず
ソウル・仁寺洞のサンチョンで供された寺院料理。 写真: Richy! at flickr / CC BY-SA 2.0 / Wikimedia Commons

現在の広がりと、知っておきたいこと

コリア・ジョンアン・デイリー(2016年)によると、寺院料理は2000年代半ばに注目されてレストランが急増し、その後いったん落ち着いたものの、再び関心が高まっているといいます。同紙(2019年)は、2017年に配信された料理ドキュメンタリー『シェフのテーブル』で尼僧のチョン・グァン氏(정관)が紹介されたことが、旅行者の関心を高めたと伝えています。『Tricycle』の記事では、韓国仏教の文化事業団の話として、年間5万5000人以上の外国人が山寺を訪れ、寺院料理を体験しているとされています(2017年時点)。

同記事に登場する尼僧のポプソン氏は、調理の心得として、清潔さ、調和、自然な味わいの三つを挙げています。食べ物を修行の糧として受け取るという姿勢は、マインドフルな食事にも通じる考え方といえます。体験する際は、僧侶と全く同じ作法をとる必要はなく、背景にある考え方に触れることが大切だと同紙(2019年)は述べています。

トップ画像: ソウル・仁寺洞の寺院料理店サンチョンで供される、仏教の影響を受けたおかず。 写真: Julie / CC BY-SA 2.0 / Wikimedia Commons

出典